大原孝治の臨機応変な対応が勝利の秘訣
インバウンドの増加によって恩恵を受けた企業の数は知れませんが、同時に需要が低下した後に上手く切り抜けることができた企業の数も非常に多いものでした。いつまでも続くものではないとわかっていても、多くの企業が次の手打つことができず手をこまねいているうちに苦境に立たされることになったのです。ドン・キホーテはインバウンドの恩恵を十分に受けつつも、需要が低下した後はすぐにマーチャンダイジング(MD)を変更して市場が求めるものに対応をして、業績を伸ばしています。時代に合わせて方針転換をしていくことは言葉にすれば簡単ですが、実際に柔軟に対応するのは難しく簡単にできるものではありません。それを社長である大原孝治が成功させることができたのは、個店主義の考え方にあります。今までの日本の多くの企業はトップがグループをまとめて指揮をとってきましたが、大原孝治は臨機応変に行動をするために現場に権限を委譲させました。現場の状況を最もよく知る現場に権限を与えたことで、ニーズの変化を敏感に察知してインバウンドの需要低下後はまた別のニーズを満たすために上手く方針転換をしたというわけです。このようなやり方は一つ間違えればグループ全体が倒れてしまうリスクがありますが、大原孝治は部下を信頼し、また信頼できる能力ある人間に対して権限を与え、現場でしかできない臨機応変な対応をとらせたことで個店主義を成功させたということになります。その成果がインバウンド需要低下後の、ドン・キホーテの一人勝ち状態と言えるのです。